
先日、こんな質問をいただきました。
「面接の場での『嘘』が無くならないのは、なぜなのでしょうか?」
うーん・・・確かに、これは「悩ましい」問題です。
面接のときに聞いていた話と、全然違う!
面接での印象は良かったのに、入社してみたら酷い会社だった!
こんな経験をした方は、少なくないと思います。
私も、その一人です。
「面接の場での『嘘』が無くならないのは、なぜなのでしょうか?」
その答えは、一言で言うと、「嘘ではないから」です。
就職活動・転職活動の面接で、
「聞いていた話と違う」
「エージェントに騙された」
と言う人は、後を絶たないですが・・・
まず、大前提として、
就職・転職において、入社前後の「ギャップ」が無いなんてことは、あり得ません。
「ギャップ」は、必ずあります。
これは、どういうことなのか?
少し説明していきたいと思います。
ちなみに・・・
今日のお話は、あくまで「入社後」のことについて書きますが、それ以前に、就職活動や、転職活動の時点で、できる限り「ギャップ」の少ない会社を見つけて、志望企業の内定を勝ち取る方法は、下記の記事に書いています。
こちらも参考にしてみてください。
大学生向け就活攻略note:【就活】学歴なしでも「大企業」の内定を得るために、今できること
社会人向け 「安斎響市の転職プロジェクト」
① 運命を引き寄せる「職務経歴書」の書き方 & 応募企業の選び方
② 相手を一撃で惚れさせる、圧倒的「面接」テクニック
③ 年収を爆発させる「給与交渉」と「退職」の出口戦略
それでは、本題に入りましょう。
入社後の「ギャップ」が生まれる理由 ①
面接は「営業」の場でしかないから
まず、転職活動の「面接」とは、「自分を良く見せる場」です。
求職者にとっては、自分がいかに「雇う価値のある優秀な能力を持った人材」であるかを見せつける場だし、
企業側にとっては、自社がいかに「優秀な人材が集まる魅力的な職場」であるかを見せつける場です。
当然ですが、聞かれてもいないのに、余計なことは言いません。お互いに。
例えば・・・
求職者からすると、「自分のミスで職場に迷惑をかけてしまった話」など、わざわざ自分から持ち出す必要性はゼロですし、
企業側からすると、「実は直近で社員が次々に不満を持って辞めていること」など、わざわざ伝える必要性はありません。
お見合いと同じようなものです。
マッチングアプリで、「奇跡の一枚」を更に加工しまくった「別人のような写真」を見せられているのと同じです。
それは、もう仕方ありません。求職者は、「自分の実力よりも高い年収をオファー」してもらえれば、それに越したことは無いですし、企業は、「自社の給与水準ではとても雇えない優秀な人材を獲得」できれば、それに越したことは無いのだから。
お互いに、騙しあい、化かしあいです。
もう「転職とは、そういうものだ」と思うしかありません。
別に、それが「おかしい」とか「不公平だ」とか、そういう話ではなくて、もともと「転職とは、そういうものだ」、ということです。
求職者側からすると、入社さえしてしまえば、日本の法律上、そう簡単にクビになることは無いですし、企業側からすると、入社さえさせてしまえば、不満があっても、1-2年の短期間で辞める人はほとんどいません。
そういう「駆け引き」で成り立っているのが、転職です。
求職者側・企業側、お互いに、自分を良く見せようと必死に考えて行動しますし、仮に不安要素があっても折り合いを付けながら、「妥協点」を探して、半分くらい「ギャンブル」のような状態で、なんとか成立するようにバランスを取っているのが、転職活動の「現実」です。
面接の場で、「上司になる人」や「人事」が語るのは、単なるCMだと思った方がいいです。
実際の環境は、働いてみないと分かりません。
入社後の「ギャップ」が生まれる理由 ②
「会社の評価」は人によって違うから
次に大事なのが、
「会社の評価」は、相対的なものでしかない、
ということです。
ある会社が「ホワイト」か、「ブラック」か、なんていうのは、人それぞれの価値観によって左右されます。
仮に、毎月の残業が50時間という会社があったとして、もともと残業100時間の会社から転職してきた人は「ホワイトだ」と思うでしょうし、もともと残業ゼロの会社から転職してきた人は「ブラックだ」と思うでしょう。
新卒でこの会社に入った人なら「これが普通だ」と思うでしょう。
また、仮に「この部署は残業は多いか?」と聞いたところで、面接官が、バリバリ仕事が出来てタスクをあっという間に片付けてしまう人なら「残業はほとんど無い」と言うでしょうし、面接官が、仕事が出来なくて毎日深夜残業しているような人なら「ある程度の残業はある」と言うでしょう。
そして、面接を受けている求職者側からすると、今、目の前にいる面接官が、会社の中でエース級の人なのか、ただのポンコツ窓際族なのか、正確に知る術はありません。
「自分がよく知らない人」の「個人的な評価」など、いくら聞いても、あまり意味はありません。
逆に、不確かな情報に振り回されるだけです。
「会社の評価」も「会社への期待値」も、人それぞれです。サービス残業を「普通だ」と思う人もいれば、「あり得ない」と思う人もいます。上司が部下にタメ口で喋るのを「当然だ」と思う人もいれば、「最低の侮辱だ」と思う人もいます。
それは、もう、人それぞれの価値観です。
入社前に、面接官や社員から得た情報などが、あまり意味を為さないのは、このためです。
同じ理由で、口コミサイトやTwitterも、あまり参考にはなりません。
口コミサイトは、例えば「社内のだいたいの年収の分布を調べる」時などには役立ちますが、社風や、職場の環境を調べるのには、それほど役に立ちません。
部署が変われば、上司が変われば、雰囲気は一変しますし、小さい会社だと2-3年のうちに社風がガラッと変わったりもします。
元社員の話や、口コミは、「参考情報」程度に聞いておいた方がいいです。
口コミサイトに書かれていた内容を根拠にして、自分の転職の決断をするなんて、バカなことをしてはいけません。
入社後の「ギャップ」が生まれる理由 ③
入社前にすべてを知ることなど、
そもそも不可能だから
最後に、そもそもの話なのですが、転職先が、「入社前に思っていた通りの会社だった」なんて言う人は、恐らくこの世に一人もいない、ということです。
会社の雰囲気は、実際に働いてみないと分かりません。ブラックかホワイトかも、外からはそれほど明確には見えません。
たった数時間の面接で、それが全て見えるわけがありません。そんな人、この世にはいません。どんな会社にも、「表」と「裏」がありますし、どんな会社にも、「光」と「闇」があります。
それは、入社前には全ては見えません。
ものすごくフレンドリーな会社かと思ったら、「新入社員は、まずトイレ掃除から」という会社もありますし、ベンチャー気質で自由な会社かと思ったら、「朝8時からラジオ体操と社訓斉唱だ」という会社もあります。
会社の中の「常識」や「暗黙の了解」まで、入社前に全部分かるということは、ほとんど、ありません。
この意味で、原則として、転職の前後の「ギャップ」を完全になくすことなどできない、と言えます。
もう、「そういうものだ」と思うしか、ありません。だから、転職には常に、リスクが付きまとうのです。
仕方ないです。リスクゼロでの転職など、この世には存在しません。どんなに用心深く、事前に会社のことを調べたとしても、「ギャップ」をゼロにすることは、不可能です。
今までいた会社との「カルチャーギャップ」を楽しむ、くらいの精神的余裕が無いと、そもそも転職は難しいのかもしれません。
致命的な「ギャップ」を、
どうしても埋められない時には...
以上、入社後の「ギャップ」の話でした。
転職は、やはり「怖い」です。
転職には、人生を変える力があります。
良い方向にも、
悪い方向にも。
そして、一度転職してしまうと、仮に「ギャップ」があったとしても、しばらくはその会社で働くのが普通です。
この記事で述べた通り、転職には「ギャップ」が付き物で、「100%予想した通りの会社だった」なんてことは、ほとんどあり得ないので、多少の「ギャップ」があったとしても、前向きに、その環境に慣れていくことが必要なのだと思います。
それでも・・・
世の中には、「どうしてもギャップを埋められないとき」もあります。
転職先を間違えて、「こんなはずじゃなかった・・・」「最悪だ・・・前の会社に戻りたい・・・」という人も、実際に沢山います。
私自身、20代で初めての転職で入った「2社目の会社」では、あまりのカルチャーギャップに毎日苦しんだ結果、たった1年で逃げるように会社を辞めたことがあります。
全く後悔はしていません。
辞めて本当に良かったと思っています。
同様に、私の友人や、元同僚の中には、「2カ月で辞めた」「2週間で辞めて元の会社に戻った」という人も実は結構います。
どうしても、本当に本当に「ギャップ」を埋められない時には、別に、すぐ辞めてもいいのです。
自分の人生なんだから。
ただし、「辞めて次に行く」ためには、それ相応の社会人経験と実力は必要ですけどね。
転職のヒントは、この辺に書いています。
大学生向け就活攻略note:【22卒/23卒 就活】学歴なしでも「大企業」の内定を得るために、今できること
社会人向け 「安斎響市の転職プロジェクト」
① 運命を引き寄せる「職務経歴書」の書き方 & 応募企業の選び方
② 相手を一撃で惚れさせる、圧倒的「面接」テクニック
③ 年収を爆発させる「給与交渉」と「退職」の出口戦略
転職には「リスク」が常にあって、転職には「ギャップ」が付き物ですが、みんな、それを乗り越えて転職を成功させています。
そして、ある程度の能力とスキルがあって、「転職活動の方法」を知ってさえいれば、転職は、何度でもできます。
皆様の、幸せな転職を、お祈りしています。
お相手は、安斎 響市でした。