
こんにちは、安斎 響市です。
昨日、こんなツイートをしました。
私の経験上、
「転職」や、新卒の「就活」において、
絶対に避けるべきことをまとめたものです。
もちろん、世の中には「絶対」は無いので、
実際には、一人一人が自分で判断することだとは思いますが、
20代後半から4回転職して、
日系大企業、中小企業、外資零細企業、外資大手など
を転々としてきた私の「実体験」から判断して、
まず間違いなく「避けておいたほうがいい」こと、
がこの9つでした。
このうち、ほとんどの内容は、
既に、このブログの、
他の記事に詳しく書いています。
例えば、
なぜ新卒で外資に入社してはいけないのか?
なぜ新卒2年以内に辞めてはいけないのか?
なぜ上司や同僚に転職の相談をしてはいけないのか?
といった内容です。
ただ、
退職時の引き留め交渉
については、
そう言えば、まだ書いていなかったので、
この機会にこのテーマで書こうと思います。
なぜ退職時の引き留め交渉に応じてはいけないのか?
という話です。
「引き留め交渉」に応じてはいけない理由①
「交渉」として成立していないから
まず、1つ目の理由は、
たいていの「退職引き留め交渉」は
「交渉」ではないからです。
上司に「会社を辞めます」と言って「退職届」を出したときに、
「はい、分かりました」と、すんなり受領する上司は、ほとんどいません。
(いるとしたら、相当アホな上司です)
なぜなら、
自分の部下が辞めるとなると、
少なからず自分のチームの業務に影響も出ますし、
当然「部下を辞めさせてしまう」上司の評価は下がります。
「あなたの為」ではなく、「自分の為」に、
上司は、あなたの退職の理由を聞き、
なんとか残ってもらえないか、
という話を始めます。
仮に、あなたが、上司から、
「あ~~~、自分から辞めてくれてよかった。
ラッキー。コイツ全然使えないから困ってたんだよね」
と思われていた場合でも、
形式上は、退職理由を聞いて、
「引き留め交渉」をします。
上司は、人事部に対して、
報告と説明の義務があるからです。
人事部も、年間で何人が入社し、何人が辞めたのか、
という実績をきちんと管理していますし、
基本的には、
「社員の退職」は会社にとって良くないこと
だと考える企業が多いので
上司から少々話をして、
「引き留める」ことが出来るのなら、
それに越したことはありません。
ただ、その裏では、
あなたが辞めた後に、その穴をどうやって埋めるのか、
新しい人を採用するのか、
他の部署から人事異動で連れてくるのか、
ということを既に考えているのです。
上司も、人事部もです。
本気で、
あなたを「引き留めたい」なんて、
思っていません。
多少は思っていたとしても、
たいていの場合、
「ダメ元」で交渉をしていて、
「どうしても辞めるなら仕方ないけど・・・
後任は、誰がいいかな・・・?」
のほうが上司にとっては重要事項です。
退職引き留めの「交渉」というより、
一応ダメ元での「説得」「依頼」に近いと思います。
そして、
その「退職引き留め交渉」の中で話し合われた、
「希望の部署に異動させてやるから」
「来年には昇進できるようにするから」
「給料が理由なら次の査定で上げてあげるから」
といった、
たいていの「約束」は、
実際には、実現しません。
あなたを引き留めるために、
適当に用意した「口実」でしかないからです。
来年になれば「状況が変わった」とか、
「今年はちょっと無理だった」とか、
都合のいいことを言うだけですし、
その「約束」をした上司が
異動でいなくなるかもしれません。
本当に残ってほしくて
「交渉をしたい」のであれば、
会社側も、
「x月x日付で年収を○○○○万円に変更する」
「x月x日付で○○○部へ配属とし、○○への昇進とする」
など、
具体的な条件を書面で用意するべきです。
実際、外資系の会社では、
このように具体的な年俸などを提示して、
引き留め交渉をするケースもあります。
このような「書面での確約」が無い場合は、
退職引き留め交渉で出された条件は、
ただの「口約束」で、「無意味」だと思ったほうがいいです。
「引き留め交渉」に応じてはいけない理由②
その後の社内での立場が悪くなるから
2つ目の理由は、
「退職引き留め交渉」に応じて、転職をするのをやめて、
現職の会社に残ったとしても、
たいていの場合、
その後に社内での
「明るい未来」は無いからです。
かなりの高確率で、
一度会社に退職を告げた後に社内での評価が上がることはありませんし、
最悪の場合、
他の部署や地方に飛ばされる可能性もあります。
既に上記に書いた通り、
「部下が辞めてしまった」場合、
ある程度は上司の社内評価に響きます。
上司としては、
いつまた「辞めたい」と言い出すか分からない部下など、
自分の評価を考えると、手元に置いておきたくはありませんし、
一度「退職届」を出して、なんとか説得して会社に残った部下など、
印象が良いはずがありません。
これは、その上司が良いとか悪いとか、
そういうことではなくて、
「心理的」にそうなる可能性が高い、
ということです。
例えば、
重要なプロジェクトを任せるチームリーダーを選ぶ際にも、
「彼は、すぐ辞めちゃうかもしれないからなあ・・・」と、
仮に仕事は出来る人だったとしても、
「辞めてもらっては困る」大事なポジションに付けるのは躊躇するかもしれません。
例えば、
上の階級へ昇進させるために「上司からの推薦」をする場合も、
「せっかく推薦して昇進させてあげたのに、
すぐ辞められてしまったら、人事への印象も悪いし、
社内での自分の面子にも関わる・・
他の人を推薦しておいたほうが無難だな。」
と思われる可能性があります。
上司も人間なので、
このような心理になるのは仕方がありません。
もっと最悪のケースだと、
とりあえず、
今すぐ辞められるのは困るから「引き留め」はしておいて、仕事は続けさせて、
半年後に「後任」を用意できたタイミングで、
社内の「追い出し部屋」のような部署に飛ばして辞めさせる、
という仕打ちを受けた人も、私は実際に知っています。
日系大手メーカーの、2歳上の先輩でした。
もちろん、会社によっては、
一度「辞めたい」と言った後も、正当に評価をして昇進させ、
重要なポジションにも抜擢する、という場合もあるとは思いますが、
それは結果論であり、
自分がいる会社がそうだとは限りません。
特に、日系の会社では、
未だに「終身雇用」「定年退職」といった文化が根強いので、
「退職届」を出した時点で
「裏切り者」扱いをされるケースもあります。
そして、上司も人事も人間なので、
あなたが「辞めたいと退職届を出した事」は、すぐに社内に伝わります。
もう、あなたが「会社を辞めようとした」ことを、
知っている人は知っています。
外資で、人の入れ替わりが激しい超ドライな会社なら、
それほど影響は無いかもしれませんが、
たいていの会社では、
「一度辞めると告げた後に会社に残る」ことは、
自分にとってプラスにはならないと思います。
「引き留め交渉」に応じてはいけない理由③
一度「辞めよう」と思った会社は、そう簡単には変わらないから
3つ目の理由は、
一度あなたが
「辞めたい」「辞めよう」と思った、
その会社は、
そう簡単には変わらないからです。
例えば、
「給与に不満があった」として、
上司から「給与なら上げてやるから辞めるな」と言われたとしても、
会社には決まった給与テーブルがありますし、
「アイツ、辞めるってゴネたら給料上がって昇進したらしいぜ、不公平だよな」
と周りから言われるのは目に見えているので、
あなた1人だけ、給料を上げるなんてことは出来ません。
例えば、
会社の仕事に対する考え方や環境
に不満があって辞めるという場合も、
あなたが辞めると言ったからといって、
仮に上司が、
「環境改善のために努力するから」と言ったからといって、
何かがすぐに変わるわけではありません。
なぜ「その会社を辞めようと思ったのか」は人それぞれですが、
色々考えた末に、「辞めよう」と思って、
転職活動をして、今「退職届」を書いているからには、
それなりに大きな理由があったものと思います。
上司に「頼むよ」と言われたくらいで
「わかりました、残ります」と
あっさり退職届を引き下げられるような甘い覚悟なら、
初めから、
転職活動などしていないか、
もしくは、
転職活動中に考え直して会社に留まっていると思います。
会社という大きな組織は、
そう簡単に変わることはありません。
会社に根付いた「しがらみ」や「風土」が、
短期間に変わることなど、ほとんどあり得ません。
私の元同僚や、友人にも、
「退職の引き止め交渉」の末に考え直して
会社に留まった人が何人かいますが、
その全員が、結局、
その後1年以内など短期間に会社を辞める
ことになっています。
退職を決意した後に、引き留められて会社に残ったとしても、
「やはり、この会社は合わない」
「1年前と何も変わっていない」
「あの時辞めるべきだった」
という疑念が拭えなくなり、
さらには「決断できなかった弱い自分」が嫌になってくることもあります。
転職は、すればいいというものではありませんが、
「今の会社の仕事にどうしても納得がいっていない」のであれば、
多少「引き留められた」くらいで
自分の意思を曲げるべきではないと、私は思います。
他人の言葉に、
自分の人生を委ねてはいけません。
最後に:
さて、色々と書きましたが・・・
結局のところ、
最終的に判断するのは「自分」です。
会社から引き留められた末に、
転職を踏みとどまって今の会社に残って、
幸せになれる人もいれば、
そうでない人もいると思います。
ただ、「退職の引き留め」は、
形式的な場合も多いですし、
ただの口約束でしかない場合もあります。
何が本当に自分のためになるのか、
会社の為ではなく、
自分の人生の為に、
慎重に考えて、結論を出しましょう。
ちなみに・・・
転職の際に確実に押さえておくべき「損をしない退職」については、こちらの記事に詳しく書いています。
ぜひ、こちらもご参照ください。
安斎響市の転職プロジェクト③ 年収を爆発させる「給与交渉」と「退職」の出口戦略
以上、
お相手は、安斎 響市でした。