
こんにちは、安斎響市です。
今日は、「新卒採用」と「中途採用」の違いに関するお話。
大学3~4年生が「いっーせーのー」で同じタイミングで内定を奪い合う新卒の就職活動と、
数年~十数年働いて経験値を積んだ人が自分自身のタイミングで前に踏み出す中途の転職活動って、
一体何が違うのか?という話です。
なぜなら・・・
ほとんどの人が「新卒の就活」の延長線上で「転職活動」というものを考えているから。
この考え方では、失敗します。確実に。
新卒採用は「スペック」で決まる。中途採用は・・・
先日、こんな質問をいただきました。

この方は大学生で、社会人として働いた経験の無い方だと思いますので、
「新卒で入った1社目が大企業じゃないと、外資に転職は難しい?」
「TOEIC800点とか営業成績とか、明確なスペックや経歴があれば、転職できる?」
と考えてしまうのも、まあ、仕方がないと思います。
たぶん、
新卒の就活と、中途の転職活動との
「明確な違い」が
理解できていないのでしょう。
と言っても、
ほとんどの社会人がこの事実をきちんと理解していないので、大学生で理解できていないのは、当然と言えば当然だと思います。
とりあえず、TOEICの点数がどうとかは横に置いておいて、そもそもの「新卒採用」と「中途採用」の話です。
はっきり言いますが、新卒採用は、ほぼ「スペック」で決まります。
学校名、学部名、偏差値、資格、TOEIC、海外留学経験(海外の大学名)・・・
いわゆる「スペック」。
もう少し言うと「カタログスペック」。
つまり、「履歴書」に書ける「書類上のスペック」で勝敗の9割くらいが決まります。
残酷ですが、これが事実です。
当たり前ですね。
全員大学生ですから。仕事をしたことのない人たちを、「仕事」で評価することはできません。
この前まで焼き肉屋でアルバイトしてたような20歳そこそこの大学生が、数か月後に「即戦力」なわけがありません。
全員がポテンシャル採用。
みんな「どんぐりの背比べ」で、なかなか差別化要素が無い以上は、学歴(大学名)や、資格などの「スペック」を一番見られます。
色んな人が綺麗ごとを言ってますが、実際には、これが事実です。
もし、学歴やスペックが関係ないのなら、大企業の新卒社員はあんなに高学歴で海外留学経験者だらけにはなりませんよ。
新卒の就職活動において、大した学歴なしで、この「カタログスペック」を上げる方法については、こちらに詳しく書いています。
学生向け:【22卒/23卒 就活】学歴なしでも「大企業」の内定を得るために、今できること
一方で、中途採用で「内定を得る」基準は、明らかに違います。
簡単に言うと、中途採用では「スペック」ではなく「ニーズ」で内定可否が決まります。
中途採用は、「ニーズ」を満たせるかどうかで決まる
「スペック」ではなく「ニーズ」とは、どういうことか?
これはつまり、「営業成績」とか「難関資格」とか「英語」みたいな、恐らくどこの企業でも欲しがっていそうな、いわゆる「立派な経歴」を持っているかどうかは、必ずしも内定には関係が無く、
「企業が本当に欲しがっているもの」ひとつだけ持っていれば、低学歴だろうが、何ひとつ資格が無かろうが平気で内定は出る、ということです。
逆に言うと、中途採用では、どんなに優秀な人でも「このポジションには合わない」という理由だけであっさり落ちます。
新卒採用では「優秀な学生」を求めていますが、
中途採用では「優秀な社会人」を求めているわけではありません。
ここが最大のポイントです。
「優秀かどうか」が基準ではないのです。
例えばの話・・・
私は、偏差値50程度の地方国立大の学部卒。お世辞にも「高学歴」とは言えません。
前職の会社は、社員数50人以下の外資系零細企業。ほぼベンチャー企業に近いです。
それでも、現職の外資系IT企業には32歳の時に「部長職」で雇われました。
周りを見る限り、30代前半の「部長」は私以外には一人もおらず、ある程度、他の人たちより高く評価されて入社したものだと思っています。
一方で・・・
最近、近い部署で私と似たポジションの面接を受けに来た方は・・・
30代後半、東大の大学院卒。海外でMBAも取得済み。
某有名コンサル企業に15年以上勤め、現在はプリンシパル(次長)という肩書き。
にも関わらず、この方は、数人の面接官の満場一致で「不合格」。
「うちの会社には必要ない」と評価されたのです。
どう考えても「スペック」だけなら、私の100倍優秀な方が、面接であっさり落ちているのです。
なぜなら、この方は「会社が求めるものを持っていなかった」から。
面接官たちが口を揃えて言っていたのも、
「彼が優秀なのは分かる。でも、このポジションで採用はできない」
という話でした。
中途採用とは「特定のポジション」ありきなので、
優秀な経歴や実績を持っているかどうかは(評価対象の一つではあるものの)、最重要事項ではないのです。
大事なのは、マッチングです。
この「特定のポジション」に合うかどうかです。
こういう話は、そこら中にあります。
一見、高学歴で有名企業出身者が面接であっさり不採用になったり、
ショボい大学でショボい企業出身でも「ある特別なスキル」を持っていたために採用が決まったり、
ということは、中途採用ではよくあります。
もちろん、大企業出身者の方が比較的有利な場合が多いとか、
有名な大学を出ていた方が評価されやすいとか、
そういう「全体の傾向」はあるかもしれませんが、
新卒だと、ほぼ「スペック」だけで採用が決まるのとは非常に対照的に、
中途採用では、「スペック」は評価基準のほんの一部でしかなく、その企業それぞれの「ニーズ」が大部分を決める、ということは、
きちんと把握しておかないといけません。
「ニーズ」を満たせる人材になる為には?
逆に言うと、「転職にはチャンスがある」のです。
私が初めての転職で入った2社目の会社は、日系の超大手有名企業で、日本のトップブランド20に選出されるような会社です。
私の学歴と、私の頭の出来では、とても新卒では入れません。
現職の外資大手IT企業も、新卒で入ってくる人たちは、東大京大早慶上智、もしくはハーバード、MITの大学院卒みたいな超エリートばかりで、私のような田舎の地方大学でママチャリ漕いで安いスーパーで発泡酒買ってた奴からすると本来「雲の上の人たち」みたいな感じなんだけど、
今では、普通にただの同僚です。(というか、同じくらいの年齢でも私の方がずっと役職は上です)
新卒では到底入れないような難関企業でも、中途ならあっさり入れるのです。
これって全然珍しい話じゃなくて、やはり「新卒では入れないレベル」の有名企業や優良企業に、「中途だったから入れた」って人は実は沢山います。
「相手の企業が欲しがっているもの」をきちんと見極めて、それを上手くアピールしたからだと思います。
このように「ニーズを満たす」ためにはどうすればいいのか?
そもそも「ニーズ」って何?
どうしたら、自分にもそれができるの?
簡単に言えば、
「ニーズを満たす」とは、相手(人事担当や面接官)を魅了する「ストーリー」を描くことです。
「この人なら活躍してくれそう」
「うちの会社のこのポジションにぴったりだ」
という期待を抱かせる、「雇いたい」と思わせる強いストーリーを上手に語ることです。
もちろん、「相手が欲しいもの」を自分がたまたま持っているとは限りません。
重要なのは「見せ方」「自分の売り方」です。
これは、
自分が持っているものを、
相手が欲しいものに変える力、
言い換えると、
自分の持っている素材を、
相手に合わせて変える力です。
その詳細まで知りたければ、下記の記事を読んでください。
「安斎響市の転職プロジェクト」
① 運命を引き寄せる「職務経歴書」の書き方 & 応募企業の選び方
② 相手を一撃で惚れさせる、圧倒的「面接」テクニック
③ 年収を爆発させる「給与交渉」と「退職」の出口戦略
この記事の中で丁寧に説明するには、あまりにも長すぎる内容なので、ここで中途半端に語るより、上記の記事を読んでいただいたほうが早いと思います。
もちろん、「楽チンな道」ではありませんが、実は、それほど難しいことでもありません。
やり方さえ分かっていれば、あとは「やるだけ」と言ってもいいです。
本気でやるかどうかは、あなた次第です。
ちなみに、就職活動や転職活動の基本的な考え方については、他の記事にも書いていますので、こちらもご参考ください。
【20代 必読】はじめての転職活動の基本:7カ条
学生向け:【就活】学歴なしでも「大企業」の内定を得るために、今できること
以上、色々と書きましたが、「キャリアは自分次第」です。
自分自身の頭で考えて、自分の望むキャリアを手に入れてください。
皆様の、幸せなキャリアを、心から応援しています。
お相手は、安斎 響市でした。
「安斎響市の転職プロジェクト」
① 運命を引き寄せる「職務経歴書」の書き方 & 応募企業の選び方
② 相手を一撃で惚れさせる、圧倒的「面接」テクニック
③ 年収を爆発させる「給与交渉」と「退職」の出口戦略